真実を求めること ドラマ「監査法人」から再考

先週の土曜日から始まったNHKのドラマ「監査法人」を大変興味深く見ている.
おもしろい.

私は理系の研究者のはしくれだ.
分野は数理物理.

このような理系の分野では,真実が全てだと思っていた.
そして,その真実を求め続ける研究者にあこがれて,運良く研究者を職業にすることができた.

だが,現実は,そうではなかった.
ごまかしや馴れ合いなど,ひどい現実をいくつか見てきた.


かつて,ある論文を読んでいて,その数学的証明に,どうしても埋められないギャップがあり,
その論文の著者に直接会う機会があり,そのギャップをどうやったら埋められるかを直接尋ねた.

そしたら,「絶対できる」を繰り返すばかりで,具体的な回答をしてくれなかった.
それでも,食い下がったら,「この論文は,皆が引用しているので,今更,間違いなんて言えない」と言われた.

唖然とした.この方は,結構,有名な研究者である.
これで終わらなかった.

その後,この方は,ある国際ワークショップの議論の場で,皆の前で,その論文を根拠にした話を始めた.
また,唖然とした.内容は数学の話である.真実ははっきりしている.

その上,私に様々な圧力をかけてきた.
どんな人でも,誤りを指摘されたら,それを受け入れることは難しいであろう.
だが,数学的な証明の話である.


なんてことだと,失望に近い現実を思い知らされた.
いったい,どうすればいいのかと思う.

真実って何なんでしょう.
希望はあるのでしょうか?